第3回 思考の「リアリティ」――あなたの考えには、歴史がありますか?
面接で大切なのは、立派な「結論」を言うことだけではありません。その考えは、どこから来たのか。そこをたどっていくと、あなたが何を経験し、何に引っかかり、どう考えてきたのかが見えてきます。考えにも、その人なりの「歴史」があるのです。
「私はこう考えます」で終わっていませんか?
面接では、自分の考えを聞かれることがあります。
「この問題について、どう考えますか?」
「この経験から、何を考えましたか?」
そこで、「私は〇〇が大切だと考えます」と答える。
もちろん、自分の考えを持っていることは大切です。
でも、それだけでは、まだ「あなた」はあまり見えてきません。
同じようなことを考えている人は、ほかにもいるからです。
では、その考えのどこに「あなた」がいるのでしょうか。
考えには、歴史がある
今あなたが持っている考えは、最初からそこにあったわけではないはずです。
何かを経験した。そこで心が動いた。「なぜだろう」と思った。
調べてみた。人の話を聞いた。そして、また考えた。
最初とは少し違う考えになったかもしれません。
反対に、調べたり考えたりしたことで、最初の考えにもっと自信を持ったかもしれません。
そうやって、今の考えにたどり着いている。
考えには、その人なりの歴史があります。
だから面接で、「なぜ、そう考えるのですか?」と聞かれたとき、もっともらしい理由を考えて付け加える必要はありません。
自分の考えが、どこから来たのか。
そこをたどってみればいいのです。
心が動いた。その次に何を考えた?
前回の「経験のリアリティ」🔗では、経験した事実だけでなく、そのときの「心の動き」を伝えることについて考えました。
今回は、その続きです。
心が動いた。
では、なぜ自分はそこに引っかかったのでしょう。
ある事実を知った。
それを知って、自分の考えはどう変わったのでしょう。
ある問題に興味を持った。
なぜ、もっと知りたいと思ったのでしょう。
ここからは、「なぜそう考えたのか」がつながっていることが大切になります。
経験したことと、自分の考えがつながっている。一つの考えと、次の考えがつながっている。
面接官からさらに「なぜ?」と聞かれても、その道筋を自分の言葉でたどっていける。
その思考のプロセスに、その人のリアリティが現れます。
考えには、未来もある
そして、考えには「その先」もあります。
今、こう考えている。だから、もっと知りたい。だから、調べたい。だから、大学で学びたい。そして、その先に、やってみたいことがある。
こうして見ると、面接で聞かれる「これまでの経験」「今の問題意識」「大学で学びたいこと」「将来やりたいこと」は、実はバラバラではありません。
過去から、今へ。
今から、未来へ。
一本の線でつながっています。もちろん、その線はまっすぐでなくても構いません。途中で迷ってもいい。考えが変わってもいい。まだ答えが出ていないことがあってもいい。
大切なのは、なぜそう考えるようになったのかを、自分でたどれること。
そして、その考えを持った自分が、これからどこへ向かいたいのか。
そこまでつながったとき、「私はこう考えます」という一つの答えの中に、その人が見えてきます。
思考の「リアリティ」は、「何を考えているか」だけではなく、「なぜそう考えるようになったのか」というつながりの中にある。
Educational Enhancementでは、そう考えています。
次回|第4回 言葉の「リアリティ」
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🎓 【本記事の執筆・監修】
- 代表研究員:元早稲田大学准教授・教育工学博士(米スタンフォード大・オレゴン大修士 / 東工大博士)
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