第2回 経験の「リアリティ」――心が動いた瞬間をつかまえる
同じ出来事を経験しても、同じ現実を生きているわけではない。
だから、出来事そのものではなく、「自分にはそれがどう見え、なぜ心が動いたのか」を伝える。
そこに、その人のリアリティがある。
前回は、AI時代の総合型選抜において、なぜ面接で「本人のリアリティ」が重要になるのかについて考えました。 🔗第1回 本人の「リアリティ」:なぜ今、総合型選抜で「面接」が重視されるのか
今回は、面接で語る「経験のリアリティ」について考えてみます。
同じ場所にいても、見えているものは違う
コミュニケーションを考えるとき、大切なことがあります。
私たちは同じ場所にいて、同じ出来事を経験しても、まったく同じ「現実」を生きているわけではありません。
たとえば、同じ教室に30人の高校生がいたとします。
同じ先生の話を聞いても、気になる言葉はそれぞれ違います。ある人には何でもない一言が、別の人にはずっと心に残ることもあります。
そもそも、同じものを見ているとは限りません。
人はそれぞれ、自分の経験や価値観を通して、目の前の出来事を受け取っているからです。
経験の「山場」ではなく、心が動いた瞬間
では、面接で経験を語るとき、何を伝えればいいのでしょうか。
探してほしいのは、必ずしも経験の一番華やかな場面ではありません。
大会で表彰された瞬間でも、文化祭が成功した瞬間でも、探究の成果が認められた瞬間でもないかもしれません。
誰かの一言に、ハッとした。
それまで見えていなかった問題に気づいた。
自分の「当たり前」が、当たり前ではないと知った。
「もっと知りたい」「自分はこっちに進みたい」と思った。
そんな自分の心が動いた瞬間を探してみてください。
そして考えてみます。
なぜ、自分はそこで心が動いたのだろう。
同じ場にいた別の人なら、何も感じなかったかもしれません。
そこに、自分が何を大切にし、何に違和感を持ち、世界をどう見ているのかが表れます。
それが、その人にしかない「経験のリアリティ」です。
実績を聞かれたときも同じ
もちろん、「あなたの実績を教えてください」と聞かれたら、成果はきちんと伝えます。
努力して得た結果は、自信を持って話していい。
ただ、「〇〇を達成しました」だけで終わると、伝わるのは結果です。
その成果に至る経験の中で、自分は何を見て、どこで心が動いたのか。
そこまで伝わると、実績の中にも「その人」が見えてきます。
自分の「現実」を伝える
面接で経験を語ることは、出来事を最初から最後まで報告することではありません。
その経験が自分にはどう見えたのか。
そして、なぜ自分の心がそこで動いたのか。
同じ経験をした別の人には、別の「現実」があったはずです。
だからこそ、自分が見たもの、自分の中で起きたことには、その人にしかないリアリティがあります。
経験のリアリティは、経験そのものではなく、その経験を受け取った自分の中にある。
EEでは、そう考えています。
次回
第3回 思考の「リアリティ」
心が動いたあと、その経験をどう考え、自分の考えへとつなげていくのか。
次回は「思考のリアリティ」について考えます。
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