はじめに
探究を進めていると、ふと立ち止まる瞬間があります。
「このテーマでいいのかな」
「問いが弱い気がする」
「調べてはいるけど、何かしっくりこない」
多くの高校生が、この状態になると不安になります。
でも、先にお伝えしておくと――
その感覚は、探究がうまくいっていないサインではありません。
むしろ、探究のいちばん大事なところに差しかかっているサインです。
探究は「早く答えを出すこと」ではない
探究というと、
- 立派なテーマを決める
- 鋭い問いを最初から立てる
- 早く結論を出す
こうしたイメージを持っている人が少なくありません。
だから、
迷っている自分
言葉にできない自分
立ち止まっている自分
を見て、「ダメなのでは」と感じてしまいます。
でも、実際の探究は違います。
探究は、一直線に進むものではありません。
行きつ戻りつしながら、少しずつ輪郭が見えてくるものです。
探究は『小さな引っかかり』から始めればいい
探究でつまずく多くの場面は、
「良い問いを作らなければ」と思いすぎるところから始まります。
でも、最初から完成した問いを作る必要はありません。
探究のはじめに大切なのは、
「このテーマについて、今ひとつ引っかかっている点はどこか」
を見つけることです。
それは、
・何となく気になっていること
・比べてみたいと思っていること
・まだ納得できていない違和感
といった、小さなものでかまいません。
この段階では、
問いがはっきりしていなくても大丈夫です。
その「引っかかり」こそが、探究の出発点になります。
リサーチクエスチョンに迷うのは、自然なこと
リサーチクエスチョンに迷う理由は、とてもシンプルです。
多くの場合、
「入り口」と「出口」を同時に考えようとしているからです。
- 何を調べるか(入り口)
- 何を明らかにしたいか(出口)
これを一気に決めようとすると、苦しくなります。
本来は、
- 気になること・違和感(入り口)
- 少し整理する
- 何をはっきりさせたいのかが見えてくる(出口)
この順番で進めばいい。
迷っている時間は、
問いを育てている時間でもあります。
「立ち止まる」は、前に進む準備
探究で立ち止まることを、
「サボっている」「進んでいない」と感じる人もいます。
でも実際は逆です。
- 立ち止まる
- 考えを整理する
- 方向を確認する
これは、次に進むための準備です。
いきなり走り続けるより、
一度立ち止まって整理した方が、
結果的に探究は深く、楽になります。
おわりに
もし今、
- 探究の方向性に迷っている
- このままでいいのか不安
- 何がわからないのかも、うまく言えない
そんな状態なら、焦る必要はありません。
探究は、いきなり答えを出そうとするより、
「何がわからないのか」を一度整理するところが
いちばん大切です。
そして、その整理は
一人で抱え込まなくても大丈夫です。
ここまで読んで、
「そもそも探究って、自分に合っているのかな」
と感じた方もいるかもしれません。
探究は、向いている/向いていないで
単純に分けられるものではありませんが、
取り組み方によって、しんどくなってしまう人がいるのも事実です。
その点については、こちらの記事で整理しています。
▶ 探究が合う人・合わない人とは?(シリーズ0)coming soon!
この記事は、Educational Enhancement(EE)が
探究学習・推薦入試をテーマに行っている
教育研究・実践の一環として執筆しています。
EEでは、主に高校生の探究活動や進路選択の場面で生じる
「問いが定まらない」「考えがまとまらない」といった悩みを出発点に、
大学教育・探究指導の知見をもとに、
自分の言葉で考えるための枠組みを整理・発信しています。
特定の正解やテンプレートを押しつけるのではなく、
それぞれの段階に合った考え方を支援することを目的としています。
もしこの記事を読んで、
・探究の方向性に迷っている
・今やっていることが評価につながるか不安
・一度、頭の中を整理してみたい
と感じた方は、今の段階で相談しても大丈夫です。
むしろ、考えが固まる前に一度整理しておく方が、
その後の探究や文章づくりが楽になることも多いです。
探究は、いきなり答えを出そうとするより、
「何がわからないのか」を一度整理するところが
いちばん大切です。
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