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「リアリティ」を伝える面接――AI時代の総合型選抜(6)緊張のリアリティ


第6回 「緊張」のリアリティーー緊張したままでも、話せますか?

面接で緊張するのは、悪いことでしょうか。心臓がバクバクする。顔が赤くなる。頭が真っ白になる。そんな自分を何とかしなければ、と思っていませんか。でも、緊張していること自体は、必ずしもマイナスではありません。大切なのは、緊張しないことではなく、緊張していても、自分の考えを相手に伝えられることです。今回は、そのための準備と、面接本番で使えるちょっとした「必殺わざ」について考えてみましょう。

緊張の現れ方は、人によって違います。

頭が真っ白になって、何を話すつもりだったのか分からなくなる人。心臓がバクバクして、顔が赤くなったり、声が震えたりする人。体が硬くなり、胃が痛くなったり、お腹を壊してしまったりする人もいます。本人にとっては、どれもつらいものです。

でも、心臓がバクバクしていても、その音が面接官に聞こえるわけではありません。胃が痛くても、相手には分からないかもしれません。顔が赤くなったり、声が震えたりすれば、緊張していることは伝わるでしょう。

では、それは悪い印象になるのでしょうか。必ずしもそうではありません。

面接官は、「この面接を大切に思っているんだな」「一生懸命に話そうとしているんだな」と感じることもあります。もちろん、緊張しているだけで評価が高くなるわけではありません。

緊張していることと、悪く評価されることは、別の話なのです。

適度な緊張は、集中力を高めることもあります。

ただ、緊張しすぎて質問が耳に入らなかったり、何も話せなくなったりするのは困ります。せっかく自分のことを伝えに来たのに、何も伝えられずに終わってしまうのは、もったいないことです。

では、どうすればよいのでしょうか。私は、学生たちによくこう話していました。

「緊張しないためではなく、緊張しても話せるように準備することが大切」

面接の準備というと、質問への答えを文章にして、何度も暗記する人がいます。でも、本番で頭が真っ白になると、覚えた文章が出てこなくなることがあります。

「あれ、最初は何と言うんだったかな?」

そう考え始めると、ますます焦ってしまいます。だから、文章を丸暗記するのではなく、まず自分の経験や考えを十分に整理しておくことが大切です。そして、メモを見ずに、声に出して話す練習をすること。

毎回、同じ言葉でなくても構いません。話す順番が少し変わってもいいのです。前回、暗記した答えを再現することは「過去の自分との対話」になってしまう、という話をしました。今回の練習も、そこにつながります。

大切なのは、覚えた文章を正確に再現することではありません。自分の考えを、その場で自分の言葉にできることなのです。

例えば、面接官から突然、

「それでは、5分間で自己アピールをしてください」

と言われたら、どうしますか。

5分間の原稿を用意していなければ、話せないでしょうか。そんなことはありません。自分の強みは何か。それが表れた経験は何か。そこから何を学んだのか。そうしたことを、自分の中でしっかり整理しておけば、原稿がなくても話せるはずです。

私は、「これだけは言いに来たんだ!」というものを、心と頭にメモしておくことが大切だと思っています。

頭には、伝えたい内容や具体的な経験を。心には、なぜそれを伝えたいのかという思いを。

本番で言葉に詰まっても、「そうだ、私はこれを伝えに来たんだ!」と思い出せるものを持っておくのです。準備した文章を忘れても、伝えたいことまでなくなるわけではありません。

さて、どんなに準備をしても、本番では緊張するかもしれません。そんなとき、私が学生たちに伝えていた「必殺わざ」があります。それは、面接官の話を必死に聞くことです。

「えっ、それだけ?」と思うかもしれません。

でも、緊張しているとき、私たちは自分のことばかり気にしてしまいます。「心臓がバクバクしている」「声が震えている」「次は何を話そう?」

ところが、面接官が何を聞いているのか、何を知りたいのかを一生懸命に考えると、意識が自分から相手へと向かいます。心臓はまだバクバクしているかもしれません。でも、それを気にする余裕が少なくなるのです。

面接官が無表情だと、さらに緊張することもあるでしょう。

「私の答えがよくなかったのかな?」

でも、無表情だからといって、否定的に受け止めているとは限りません。真剣に聞いているだけかもしれません。

面接官が複数いるなら、にこやかにうなずいてくれる人に、少し多めに視線を向けて話してみるのも一つの方法です。もちろん、その人だけを見て話すわけではありません。質問した面接官にも、ほかの面接官にも、自然に目を配りましょう。

大切なのは、相手の表情から自分の評価を探ることではなく、相手が何を聞いているのかを理解し、自分の考えを伝えることです。

これは、前回の「対話のリアリティ」ともつながっています。面接は、準備した答えを発表する場ではありません。目の前の相手と、言葉を交わす場なのです。

心臓がバクバクしてもいい。顔が赤くなっても、声が震えてもいい。緊張をなくそうとするよりも、緊張したまま話せる準備をしておきましょう。自分の考えを整理し、メモを見ずに声に出して練習する。

「これだけは言いに来たんだ!」というものを、心と頭に持っておく。そして本番では、自分の緊張ばかり気にせず、目の前の相手に意識を向ける。

緊張がなくなってから、対話が始まるのではありません。緊張したままでも、対話はできるのです。

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🎓 【本記事の執筆・監修】

  • 代表研究員:元早稲田大学准教授・教育工学博士(米スタンフォード大・オレゴン大修士 / 東工大博士)
  • 顧  問:大学名誉教授(コミュニケーション学専門)

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