― 時事問題に対する自分の考えの書き方 ―

はじめに：ニュースを“見る”から“考える”へ

ニュースを見て、「これってどう思う？」と感じたことはありませんか？
社会で起きている出来事を、自分の言葉で語る力は、探究学習や小論文の土台になります。

でも、いざ書こうとすると――

「ニュースについて書け」と言われても、何から書けばいいのか分からない…
「自分の意見」と言われても、ただの感想になってしまう…

そんな声をよく聞きます。
そこで今回は、時事問題に対して“自分の考え”を深め、書けるようになるためのステップを紹介します。

STEP 1：まずは「なぜ気になったのか」を言葉にしよう

ニュースを見たとき、「なぜそれが気になったのか？」を考えてみましょう。
それがあなたの問題意識です。

例：SNSでの炎上ニュースを見て、意見を伝えるのは難しいと感じた。
例：物価上昇のニュースを見て、家計への影響が気になった。

理由を言葉にすることで、書くテーマが自然と見えてきます。

STEP 2：「他の人はどう考えているか」を調べよう

同じニュースでも、人によって受け取り方は違います。
新聞・ニュースサイト・SNS・家族や友人の意見など、
「他の人の見方（They Say）」を集めることが大切です。

They Say	他の人の意見や主張（ニュース、専門家、友人など）
I Say	自分の立場や考え方

「他の人はこう言っているけれど、私はこう考える」と書くことで、
ただの感想ではなく論理的で深みのある文章になります。

STEP 3：自分の考えを組み立てよう

時事問題について「自分の考えを書く」とき、
ただ思ったことを並べるだけでは、読み手に伝わりません。
大切なのは、考える順番に沿って整理することです。

まずは、次の「3＋1ステップ」を意識してみましょう。

🧩 ① 結論（自分の立場をはっきり言う）

最初に「私は〇〇だと思う」と、立場を一文で明確にします。
ここがはっきりしていないと、何を言いたいのか伝わりません。

例：「私は、SNSで意見を伝えるときこそ言葉を選ぶことが大切だと思う。」

🪜 ② 理由（なぜそう思うのかを説明する）

次に、「なぜなら〜だから」と理由を2つほど書きましょう。
理由は「考え」でも「感じたこと」でもかまいません。

例：「なぜなら、言葉の使い方を間違えると、相手を傷つけてしまうことがあるからです。」

💡 ③ 具体例（根拠を出す）

意見を支える具体的な根拠を出すと、説得力が高まります。
ニュースの内容でも、自分の体験でもOKです。

例：「たとえば、SNSの炎上ニュースを見て、投稿した人の意図と受け取られ方が違っていたことがありました。」

🌱 ④ まとめ（これから考えたいこと）

最後に、「今後どうしたいか」「これから考えたいこと」を一文加えましょう。
“書いて終わり”ではなく、次の一歩を意識する姿勢が大切です。

例：「これからは、自分も意見を発信するときに“伝わり方”を意識して言葉を選びたいと思います。」

✍️ 書く順番の見える化

段階	内容	キーワード
① 結論	自分の立場を明確にする	私は〜と思う
② 理由	なぜそう思うか説明する	なぜなら〜だから
③ 具体例	根拠や体験を出す	たとえば〜
④ まとめ	次に考えたいことを書く	今後は〜したい

この型を使えば、どんなテーマでも筋道のある意見文になります。

🌍 STEP 3＋α：もう一歩深めたい人へ（発展型）

慣れてきたら、もう少し「探究的」に書いてみましょう。
ニュースを単に説明するのではなく、背景や他の意見にも目を向けることで、
文章に深みとバランスが生まれます。

💬 ① 他の意見を紹介する（They Say）

自分の意見の前に、「他の人はこう言っている」という一文を入れると、
対話のある文章になります。

例：「一方で、“SNSでは正直さが大事だ”という意見もあります。
しかし私は、伝える相手がいる以上、言葉づかいはとても大切だと思います。」

🔍 ② 背景や影響を考える

ニュースには必ず「なぜ起きたのか」「どう影響するのか」という背景があります。
そこに目を向けると、ニュースを“自分ごと”として考えられるようになります。

例：「SNSのトラブルは、スマホを使う人が増えたことで起きやすくなっています。
情報を広げる力がある反面、言葉の責任も大きくなっています。」

こうした工夫を重ねることで、
意見が“考察”へと進化し、探究学習にもつながります。

STEP 4：問いを立てて、考えを深めよう

「意見を書く」ことは、同時に「問いを立てる」ことでもあります。
自分の考えを深めるために、次のような問いを考えてみましょう。

型	例となる問い	考えるポイント
比較型	同じ時事問題でも、人によって意見が違うのはなぜだろう？	立場や視点の違いを考える
原因型	なぜこのニュースが社会で注目されているのだろう？	背景や原因を探る
影響型	この問題が解決されないと、どんな影響があるのだろう？	問題の重要性を考える
自分ごと型	このニュースは自分の生活や学校とどんな関係があるのだろう？	身近なつながりを見つける
未来型	この問題は今後どうなっていくと思う？自分には何ができる？	展望や行動につなげる

こうした問いを出発点にすれば、
他人の意見を並べるだけではなく、自分の考えの軸をもって書ける文章になります。

まとめ：書くことは、考えること

ニュースを見て終わりにせず、「自分はどう考えるか？」を言葉にする。
それが、これからの学びに欠かせない思考力と表現力です。

探究学習や小論文で求められるのは、
「正しい答え」ではなく、「自分の考えを根拠とともに語る力」。
その第一歩として、今日のニュースから自分の“問い”を見つけてみましょう。

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