こんにちは。
総合型選抜や推薦入試に向けた準備が本格化してくる中で、ふと「自分は地味かもしれない」と感じることはありませんか?
まわりの受験生の情報が目に入ると、こんな気持ちになることがあります。
「全国大会」「起業」「海外プロジェクト」……
自分とはまるで違う。キラキラした実績ばかりで、ますます不安になる。
自己PRやエッセイを書く場面では、「何かすごいことをしていないとダメなんじゃないか」と感じやすいものです。
けれど、そんなときこそ、少し視点を変えてみることが大切です。
「普通」だからこそ見えてくるものがあります
こうした入試では、「これまで何をやってきたか」よりも、「何に関心を持ち、どう考えてきたか」が問われます。
たとえば:
- 学校生活の中でふと気になったこと
- 日々の会話の中で生まれたモヤモヤや疑問
- 身近なテーマについて調べたり、考えたりした経験
これらは、特別な実績ではないかもしれません。
けれど、それぞれの視点や問いは、その人にしか見えない世界を映し出します。
「問い」から始まる、自分だけの物語
たとえば、ある高校生は、こんなところから探究を始めました。
「毎朝バスで通学しているのですが、同じバスに乗るお年寄りたちが、病院の停留所でよく降りていくのが気になりました。
バスの本数が少なく、診察時間と合わないという話を耳にして、
通院そのものが負担になっている人が多いのではないかと感じるようになりました。
そこで、自分の地域の高齢者の通院手段や不便さについて調べてみることにしたのです。」
このように、特別な活動や受賞歴がなくても、
「気になる」「どうしてだろう?」という視点を深めることが、価値ある探究につながります。
身近な日常の中で問いを持ち、それを自分の言葉で深めていく力。
それこそが、大学が重視している姿勢なのです。
最後に
自分には特別な実績がないと感じたときこそ、日常の中で育ってきた興味や問いに目を向けてみてください。
大学が本当に求めているのは、
物事に関心をもち、自ら問いを立て、それを探究し、考え抜き、知見を得て、伝えていこうとする人です。
つまり、「鍛えがいのある人」です。
何かを成し遂げた経験よりも、
これから学び、考え、成長していこうとする姿勢にこそ、
大学は魅力を感じています。
“ふつう”の中にある、自分だけの問い。
そこから、きっと物語が始まっていきます。
つぶやき:就職面接における自己アピールのワークショップを大学で担当していたときのことです。Aくんの自己アピールは、今まで1000人以上の学生の話を聞いてきた私にとって、もっとも心に響きました。「この人と働きたい!」と強く思わせてくれる、忘れられない内容でした。
彼のアピールは、こんなものでした。
「私は毎日、米をとぎます。
そのとき、大切に育てられてここまでやってきた米を、一粒も流すことなく丁寧にとぎます。
一つ一つのことに丁寧に向き合う――それが私の長所です。」
とても日常的で、とても小さなこと。けれど、そこにはその人の温かさや誠実さがにじみ出ていて、強く心に残りました。
これが“コミュニケーション力”や“人間力”なのかもしれない──そう感じるほど、強烈なインパクトがありました。