探究発表は“なんとなく”から、“データで語る”へ
1. 「説得力」で勝つ探究とは?
総合型選抜(AO入試)では、「どれだけ調べたか」ではなく、
「どれだけ考え、どう伝えたか」が勝負です。
とくに、強い探究発表に共通しているのが次の2つ:
✅ 比較で違いを示す力
✅ 相関で関係を見抜く力
この2つがあるだけで、あなたの探究は“意見”から“論拠ある主張”へとレベルアップします。
今回のブログでは、その基本と活用例を紹介します。
2. 「比較」で違いを見せつける!
たとえば、あなたがこんな問いを持ったとします:
「通学方法によって、学校生活の満足度は変わるのか?」
調査の結果、以下のようなデータが得られました。
通学方法 | 満足度の平均点 |
---|---|
電車通学 | 6.8点 |
自転車通学 | 8.1点 |
このように、2つのグループの平均値を比較するだけで、仮説に対する手がかりが見えてきます。
🟦 グラフで視覚化すれば、説得力はさらにアップ!
(棒グラフや箱ひげ図などが効果的)
よくある「比較」に向く問い:
- 放課後活動の有無で、生活満足度に違いは?
- 理系と文系で、スマホ利用時間に差はある?
- 制服あり・なしで、生徒の主体性に違いは?
📌 表とグラフの使い分け
表(テーブル) | グラフ |
---|---|
正確な数字を伝える | 傾向や違いを直感的に見せる |
「両方使える」ことで、データの説得力がさらに上がります。
3. 「相関」で関係性を見抜く!
では、次のような問いにはどう答えるでしょう?
「勉強時間が長い人は、進路への満足度も高い?」
このとき使えるのが相関分析です。
「一方が増えると、もう一方も増えるか?」という“関係の強さ”を調べます。
🔷 相関係数(ざっくり理解)
値 | 意味 |
---|---|
+1.0 | 完全に正の相関 |
0.0 | 関係なし |
−1.0 | 完全に負の相関 |
たとえば、勉強時間と進路満足度が「+0.6」なら、
「やや強い正の関係がある」=“長く勉強する人ほど満足している”傾向と読み取れます。
💡相関が「ない」ことも大事な知見!
もし相関係数が 0.0 に近かったら、「関係がなかった」となります。
これは**“予想と違った”として終わる話ではなく、貴重な知見**です。
例:
「勉強時間が長いと進路満足度が高い」と思っていたのに、相関が見つからなかった →
では何が関係しているのか? という次の問いにつながる!
探究は「仮説が証明されること」が目的ではなく、そこから何を読み取り、次にどうつなげるかが大切。
相関がない=失敗ではありません。
むしろ、“意外な結果”をきちんと示せる人が、探究の本質を理解している人です。
4. 「比較」と「相関」は最強のペア!
視点 | 何がわかる? | 使える図表 |
---|---|---|
比較 | グループ間の違いを見せる | 棒グラフ、箱ひげ図 |
相関 | 2つの要素の関係を探る | 散布図、相関係数 |
ポイントは、「まず比較、次に相関」で説得力が増すということ。
問いのタイプによって、どちらを使うかを判断できます。
5. まとめ:「なんとなく」から「勝てる」探究へ
どんなに情熱を注いだ探究でも、“なんとなく”では伝わりません。
勝てる探究に必要なのは、データに裏づけられた主張です。
- 比較 → 「違い」を示せる
- 相関 → 「関係性」を見せられる
この2つを押さえるだけで、あなたの探究は“語れるレベル”になります。
統計を味方につければ、審査員や聴衆を納得させる力が一気に上がります。
🔔 次回予告
エクセルでできる!
平均・標準偏差・相関係数・t検定など、探究発表に使える簡単な統計分析のやり方を、次回ご紹介します。
「分析してみたいけど、やり方がわからない…」という人にこそ読んでほしい!