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問いが進化する瞬間をつかまえる:探究の“気づき”を言語化する力


こんにちは。Educational Enhancement の「研究者のつぶやき」へようこそ。

今回は、探究学習を進める中でとても大切な「問いの進化」と、それを言葉にして捉える力について考えてみたいと思います。

ここで言う“問い”とは、リサーチクエスチョン(研究課題)のことです。探究のスタート地点となるこの問いは、学びの中で少しずつ変化し、深まっていくものです。

1. 問いは最初の一歩。でも、それで終わりではない

探究のはじまりは、たいてい「問い」を立てるところから始まります。

たとえば、

  • なぜ人はSNSに依存するのか?
  • 地元の商店街が衰退したのはなぜか?

でも、その問いがそのまま最後まで使われることは、実はあまりありません。調べたり、話を聞いたり、自分で考えたりしていくうちに、「あれ、そもそも最初の前提が間違ってたかも?」とか、「本当に知りたいことはこれじゃないかも」といったズレに気づくことがあります。

これが、「問いの進化」です。

2. 「気づき」を見逃さないために

  • 自分のリサーチジャーナルを読み返してみたら、意外と同じ言葉を何度も使っていた。
  • 先生や友達に話していたら、「それって○○ってこと?」と聞かれて、初めて自分の考えがズレていたと気づいた。
  • インタビューで聞いた言葉が、自分の想定と全く違って驚いた。

こうした瞬間は、放っておくとすぐに忘れてしまいます。でも、しっかりメモしたり、誰かと共有したりすることで、「問いの変化」が意識できるようになります。

3. 言語化のコツ:「問いが動いた」と感じたら立ち止まる

でも、それで終わりではありません。言語化のあとは、「次の行動」を具体的に考えることが大切です。問いの進化を学びにつなげるためには、以下のようなステップがおすすめです。

問いの言語化後にできる行動の例:

  • 再調査してみる(新たな問いに沿って、文献や資料を追加)
  • インタビュー対象を変えてみる(異なる立場の人に聞く)
  • マインドマップを書き直す(視点を中心に再整理)
  • 探究の目的やゴールを見直す
  • 仮説を立て直す、または追加する

また、「問いがちょっと動いたな」と思った瞬間に、以下のようなフレーズを使って記録しておくのも有効です。

  • なんでこう思っていたんだろう?
  • ○○と思っていたけど、それって本当?
  • △△さんの話を聞いて、今の問いがズレている気がした

こうした気づきや思考の変化を記録するには、「研究ノート(=リサーチジャーナル)」を活用しましょう。

4. 研究ノート(=リサーチ・ジャーナル)を味方につけよう

研究ノート(探究ノート)は、ただの記録ではなく、「問いの変化」や「自分の思考の流れ」を記録し、振り返るための道具です。探究の軌跡を可視化することで、方向性を見失わず、深い学びにつながります。

以下に、問いの変化を記録するための例とテンプレートを紹介します。

  • 4/10:「SNS依存の原因」→感情面に注目しすぎかも?社会構造も調べる?
  • 4/18:新しい記事を読んで視点が変わった。問いを「SNSが生み出す関係性の変化」に修正
  1. 日付:________
  2. 今の問い(またはテーマ):________
  3. 「問いが動いた」と感じたきっかけや出来事:________
  4. そのとき、どんなことに気づいたか:________
  5. 問いをどう変えたいと思っているか:________
  6. 今後の探究にどう活かしたいか:________
  7. 自分の思考に影響を与えた出来事・言葉・人:________
  8. 新しく得た情報と情報源:
    • 内容:________
    • 出典・出会った場所:________※出典は参考文献スタイルに必ず合わせてメモする!
  1. メモが断片的であとから見返せない
    • → 日付と「今の問い・仮説」だけでも必ず記録
  2. 新しい問いに進みすぎて最初の目的を忘れる
    • → 問いの変化ログを残すこと。定期的に立ち止まる
  3. 時間が足りずに雑になる
    • → 毎回長く書こうとしない。テンプレートに沿って1日5分でもOK
  4. 情報と意見が混ざっていて後から区別できない
    • → 「事実(出典)」と「自分の考え」を分けて記録するクセをつける
  5. 資料の出典をメモし忘れて再確認に時間がかかる
    • → どこで見た情報か(本のタイトル、URL、話した人の名前など)を必ず記録
  6. 毎回フォーマットがバラバラで、見返す気になれない
    • → テンプレートを活用して、一定の書き方に統一する
  7. 書く内容がネガティブになりすぎてやる気が下がる
    • → 気づきや「面白かった点」も毎回ひとつ記録するよう意識する
  8. 書きっぱなしで振り返りをしない
    • → 毎週一度はノートを読み返し、気づいたことに赤字やふせんで追記する

5. 問いの進化とタイムマネジメント:迷子にならないために

問いが進化するのはよいことですが、あまりに何度も変えていると「自分は何を調べたかったんだっけ?」「時間が足りない!」と焦ってしまうことも。

そこで大切なのが、タイムマネジメントの視点と研究ノート(リサーチジャーナル)の活用です。

タイムマネジメントのヒント

  • 問いの変更は「いつまでOKか」を決めておく(例:中間発表前まで)
  • 問いの進化の履歴を残しておく(研究ジャーナル)
  • 進行管理シートやカレンダーで進度を見える化(探究ジャーナルのフロントシートに貼るなど)

つぶやき:探究を進めていると、情報や意見がどんどん増えて、問い(リサーチクエスチョン)も次々と変化していきます。でも、気づけば「どこまで追えばいいの?」「これでいいの?」と、迷子になってしまうことも。そもそも、探究とは問い続けること。終わりがないのは自然なことなんです。だからこそ大切なのは、「自分は何を知りたいのか」「何ができるのか」という“自分軸”を持つこと。そして、時間や実力に合わせて、ちょうどよい問いを見つけることです。あまりにも大きすぎる問い(Big Question)や、逆に小さすぎる問いは避けて、「今の自分にちょうどいい問い」に早めに出会えると、探究がぐっと前に進みます。

6. おわりに:問いの進化を楽しもう!

問いは、探究の「出発点」であり、「道しるべ」でもあります。 でも、ずっと同じ道しるべを持っている必要はありません。ときには立ち止まり、ときには方向を変えてもいいのです。

大切なのは、「自分はなぜその問いに惹かれていたのか」「今、なぜ別の視点に興味を持っているのか」を言葉にできること。

ぜひ、自身の“気づき”を見つけ、言葉にしてみてください。


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