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問いから始まる学び──アカデミックライティングの極意と探究論文の書き方


こんにちは。Educational Enhancement の「研究者のつぶやき」へようこそ。
今回は、アカデミックライティングについて考えてみたいと思います。

大学での学びとは、単に知識を得ることではなく、「問いを立て、考え、言葉にすること」。このプロセスこそが学問の本質であり、アカデミックライティングの中核でもあります。

そんな学びの基本を、丁寧に、実践的に解説してくれているのが、こちらの一冊です。

📘『思考を鍛える 大学の学び入門(第2版):論理的な考え方・書き方からキャリアデザインまで』
井下千衣子 著/慶應義塾大学出版会、2020年

著者の井下千衣子さん(桜美林大学教授)は、アカデミックライティング教育の第一人者としても知られています。
この本の中で、特に印象的だったポイントを3つ、ご紹介します。

✅感動ポイント①:「問い」が学問を開く

「学問の扉の鍵は『問い』。問いによって開きます。問いがなければ、学問へと発展しません。」

どれだけ多くの情報を集めても、「問い」がなければそれは単なる調べ学習にとどまります。
探究は、問いを持つところからしか始まらない。この当たり前のようで忘れがちな視点が、大学での学びを考える上でも軸になります。

✅感動ポイント②:思考を鍛えるプロセス

「素朴な疑問から出発して、仮説を立て、実験を実施し、データを分析して論文にまとめるプロセスは、自分の思考を鍛える意味がある。」

これは、理系に限らず、すべての分野に共通する探究の基本プロセスです。
「問い→仮説→検証→表現」の流れを自らの頭で追い、組み立てていくことが、思考力のトレーニングになります。

つぶやき:アメリカの大学院にいたときに歴史分野の論文を書きました。しかし、「歴史は書かれた資料や著書を紹介するだけで私のオリジナリティなんて出せないじゃないか!」と悩み、教授のオフィスを訪ね、「歴史論文での私のオリジナリティって?」と質問しました。教授曰く、「どう問うか?その問いのアングルが君のオリジナリティだよ!」。そうなんです。論文のオリジナリティは問い方にあるんですね!

✅感動ポイント③:他にはない「ステップ0」の導入

本書で特に推したいのが、「考えて書く」ための6つのステップが示されている点。
しかも、一般的な「5ステップ」の前に、ユニークな**「ステップ0」が置かれている**のです。

  • ステップ1:テーマを決める、論点を定める
  • ステップ2:調べる
  • ステップ3:組み立てる
  • ステップ4:執筆する
  • ステップ5:点検・推敲する

著者は、最初にこう語っています。

「なるほど、こう書くのか」「文字数はこれくらいか」など、分量の目安、題名や見出し、引用の仕方、論理を示す接続表現に注目してください。

🧭まとめ:問い・論理・表現のすべてが学べる一冊

本書は、アカデミックライティングの入門書であると同時に、探究活動の伴走者とも言える一冊です。

  • 探究論文を書こうとしている高校生
  • 総合型選抜に向けて力をつけたい受験生
  • 探究指導に携わる先生方
  • 教育に関心のある保護者の方々

どんな立場の方にも、問いを育て、論理を組み立て、言葉にしていく力の土台を築くヒントが詰まっています。

📘読書案内

書名: 思考を鍛える 大学の学び入門(第2版)
著者: 井下千衣子
出版社: 慶應義塾大学出版会
出版年: 2020年
ジャンル: 学び方、アカデミックライティング、大学入門、探究学習


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