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入試でも役立つ!探究論文の書き方ガイド|問いとストーリーで伝える力を育てる


こんにちは、高校生のみなさん。
Educational Enhancementのブログへようこそ!

総合型選抜や探究学習の中で「論文を書いてみよう」と言われること、ありますよね。
でも、「何から始めればいいの?」「本当にこれでいいのかな?」と不安になる人も多いはず。

実は、探究論文に大切なのは、“きれいな文章”や“難しい言葉”ではありません。
あなた自身の問いとストーリーを、自分の言葉で論理的に伝えること。
これこそが、読む人の心を動かすアカデミック・ライティングの第一歩です。

1.論文=“自分の問い”から始まるストーリー

探究論文は、「問い」から始まります。
この問い(リサーチクエスチョン)は、あなた自身の興味・経験・疑問から生まれたものであることが大切です。

たとえば:
テーマ例:「ゲームと集中力」
👉 リサーチクエスチョン:「ゲームをよくする高校生は、そうでない高校生と比べて集中力に違いがあるのか?」

問いは「設計図」であり、論文の「軸」です。問いがあることで、資料収集や分析、まとめの方向性がぶれなくなります。

2.論文構成の基本|5つのステップで書こう

探究論文の一般的な構成は以下のようになります。

【1】はじめに(序論)

  • なぜこのテーマを選んだのか
  • 社会的・個人的な背景
  • リサーチクエスチョンの提示

【2】先行研究・参考資料

  • これまでにどんな研究・議論があるか
  • 本や論文、インタビューなどから引用(引用方法は最後に紹介)

【3】自分の調査・分析

  • アンケートやインタビュー、観察などの方法
  • 何がわかったか?(図表を使うと効果的)

【4】考察

  • 結果からどんな意味が読み取れるか
  • 自分の問いにどう答えが出たか

【5】まとめ・おわりに

  • 結論(問いへの答え)
  • 今後の課題や社会への提案

3.“自分の言葉”で語る勇気を

たとえば、「〇〇という資料を読んで、自分は△△と考えた」「□□という点は想定外だった」「立てた仮説と違っていた」など、自分の考えや気づきを、自分の言葉で伝えることが大切です。

アカデミック・ライティングにおいても、客観性と主観的な気づきのバランスが大切なのです。

4.問いの“進化”を記録しよう

最初に立てた問いが、そのまま最後まで使えるとは限りません。
調べていくうちに、「あれ?ちょっとずれてるかも」と思ったり、「もっと良い問いが見つかった!」という瞬間が来たりします。

それは失敗ではなく、探究が深まっている証拠。
問いの進化をメモしておくことで、論文に「学びのストーリー」が生まれます。

5.論文を書く前に、研究ノートをつけておこう

いきなり書き始めるのではなく、まずは「研究ノート(リサーチジャーナル)」をつけてください。

  • 今日やったこと・調べたこと
  • 新たに浮かんだ疑問
  • 気になった引用やデータ
  • 書きたいアイデアの断片

こうしたメモの積み重ねが、論文の原材料になります。

6.引用と参考文献の書き方【高校生向けの基本】

最後に、他人の資料を使ったときは、必ず「出典」を明記しましょう。

  • 本の場合:
    齋藤孝:読書力,岩波書店,2002.
  • 雑誌論文の場合:
    田中健太:「高校生の探究活動と主体的学びの関係」,日本教育研究,45(2),45–52,2020.
  • Webサイトの場合:
    文部科学省:「探究学習の手引き」,https://www.mext.go.jp/(2025年4月10日参照)

おわりに|論文は「未来の自分への手紙」

論文を書くことは、今の自分が見つけた問いと答えを、“未来の自分”に伝える作業です。
「自分はこんなことに興味をもち、こんなふうに考えた」——
そんなストーリーが、大学入試や将来のキャリアにも必ず生きてきます。

探究の旅を、言葉に残していきましょう。

1.論理性を欠くあいまいな言い回し

❌ NG表現✅ 改善例解説
これはとても重要だと思う〜の観点から本テーマは重要性を持つと考える“なぜ重要か”を論理的に補強する必要がある
〇〇という結果になった。たぶん〜だからだろう〜の要因として〇〇が考えられる。その理由は〜である「たぶん」は論文に不適当。因果の論理を明示する
いろいろ調べてみた結果…以下の3点から〇〇が示唆された抽象語を避け、明示的な数量・要素を示す
私の考えでは〜筆者の立場は〜である/本稿では〜と考察する一人称は避け、論文的な語り口にする。つぶやきポイント:しかし、「このことから、私は~と強調したい。」等、私を使うことを推奨する研究者も多いので個人の判断でOK。自分の探究のストーリー性を打ち出したい場合は「私」を使うことを推したい。ちなみに英語論文ではIを使う方がWeよりも自然な場合が多い。

2.文体・トーンの不統一

❌ NG表現✅ 改善例
…ってことが分かりました〜という傾向が明らかとなった
言われています〇〇(著者名)は△△と主張している
ひどい状況だ/びっくりした/納得できない〇〇という結果は、〜という点で注目に値する

3.構成ミスによる説得力の低下

誤りのタイプ内容例改善のヒント
「問い」と「調査内容」が一致していない問いはAだが、調査はBを扱っているリサーチクエスチョンとデータの整合性を確認
結論が導入や問いとずれている問い:「高校生の投票率が低い理由は?」→結論:「政治教育が大事」問いに直接対応した答えを明示する
突然資料やデータが登場する「ある記事によると〜」→出典不明出典・調査条件・出典日をすべて明記する
長すぎる引用文の多用引用ばかりで「自分の考察」が見えない引用は補助的に。論文はあくまで自分の主張が主役

読み手に伝わる“論文の表現力”を意識しよう

論文では、「自分はどう感じたか」よりも「なぜそのように考えたか」「どのような根拠でその結論に至ったか」が重要です。
書き手が丁寧に論理を積み上げ、文体を整えることで、読み手も安心して理解できる文章になります。


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